第47回効果絶大!!健康塾「本当は想像以上に怖いホルムアルデヒド・VOC」前編
新春第一回目「効果絶大!!健康塾」は、眼に見えないが人の健康を阻害するVOCという物質の実態について探求する。
はじめに
日本の環境基準は概して緩い。環境基準とは室内空気汚染のVOC数値基準や電磁波基などのことだ。反面、血圧数値、塩分摂取量、コレステロール数値などの健康診断における安全基準値は異様に厳しい。では、環境基準値はどこと比較して緩いかというと、欧米との比較級の中でとても緩いのである。
その結果、シックハウス症候群とか、アトピー性皮膚炎とか喘息とかの慢性病にかかる人が 後を絶たない現状があるので、とても看過できない。
筆者は長年に渡り、衣・食・住の「住」に関わって来た経歴があり、それが影響して住宅環境に対して関心が深いし、アース事業を通して現在進行形で勉強を続けている。勉強することにより、人間にとって「環境」が如何に重要なものなのかと言うことを実感している。
その中で掴んだ真実がある。結局、「人間が住む環境を整える」というこが健康生活の入口であり出口であるということ。また、どういった食生活を続けて来たかということが、現在の健康状態をつくっているということでる。もっとも「食生活」も、健康になる食事環境を整えると言えるので広義の意味で「環境を整える」の一部と言えるだろう。
「環境」と「食生活」が人の健康状態を決めるのは間違いないが、もう一つ、「精神生活」という「心」の問題が人の健康を左右する大きな要素となっているが、今回はあえて精神の分野を無視して唯物的な「環境」から健康を論じたいと思う。
空気環境の良い家
住まいの環境のなかでも極めて重要な要素は「空気環境」である。水と空気は人間の健康維持にとって両方とも大切だが、水より健康面においてプライオリティーの高いのは明らかに「空気」であろう。室内環境を論ずるのに、温熱環境への言及も必要なことなのだが、テーマが違うのでここでは触れないこととする。
水分は一日の内で数十回程度摂取するものの、呼吸は寝ても覚めても一日中している。哺乳類として、呼吸をすることによって酸素を取り込むことにより生命を維持している以上、肝心の空気が汚染された環境の中で生活していたら健康被害にあうことは自明の理である。
よって大気汚染の酷い中国人は総じて健康被害にあっていることだろうし、概して命を縮めることになることになるだろうと思う。中国人の日本旅行の目的の一つとして、日本の汚染されていない空気を数日間吸い込むことによる肺のクリーニングがあるというほとだ。
気になって調べてみると、一日の水の摂取量は2リットル、食料は2キログラム、そして空気は15,000リットルであった。空気は最も密度が薄いものだが、一日中呼吸しているので15,000リットルにも及ぶのだ。生きるために摂取する水や食料と比較したら、数値が三桁も違い比較にもならないほどの断トツの量である。
食料は一週間摂取しなくても生き延びることができる。水は72時間摂取しないと生きながらえることができなくなる。この数値が実は災害などの救難活動で生存率が低くなる基準の根拠となっている。ところが空気はどうかというと、数分摂取しないだけで人間は死んでしまう。三分も吸わなければ、まず死に至るだろう。
ところが人は、美味しい水を買うのにお金を惜しまないし、割高の有機栽培の野菜を買うなどして健康に注意を払っているのに、こと空気に関しては実に無神経で無防備な生活をしている。空気汚染の激しい中国人は、日本の美味しい空気を吸うことにお金を費やしているが、日本人で美味しい空気を吸うのにお金を支払おうとする人はいないのではなかろうか。