第13回効果絶大!!健康塾「欧米には寝たきり老人はいない」2
自然死が迎えられない医療システム
日本では、延命措置を行わずに看取りをする病院が極めて少ないのが現状だ。その理由の一つに、「診療報酬」の問題がある。民間病院も、国・公立病院も経営を考えなくてはならないからだ。中心静脈栄養や人工呼吸器装置を行うと診療報酬が高くなる。
急性期病院では在院日数が長くなると診療報酬が減るために、胃ろうをつくって早期に退院させる。手間の掛かる食事介助をする人員の確保も出来ないし、経管摂取が出来ない。自力で食べることが出来ない方を施設で看取ることについて、社会的合意もなされているので迷わずにそうする。
そのため、不要であっても医師は延命措置を行ってしまうのである。特養などの老人などの介護施設ではどうかといえば、ほとんどの施設には常勤の医師がいないので、終末期が近づくと入所者は病院へ搬送されることになる。そして延命措置が始まることとなる。
いや、常勤医師がいる老人保護施設ですら、病院へ搬送することが多い。グループホームや自宅で、延命措置を行わずに看取るためには、自然な看取りを理解して24時間体制で訪問診療をしてくれる医師が必要だが、そのような医師はまだ少ない。
望まない延命措置をが行われていることに対して、多くの医師は「本当にそのようなことをしたくないが仕方がない」と言っている。病院の事務室には売り上げ目標があり、医師もその中の重要な役割を演ずる最前線にいる営業部隊であり、今月の売上げ達成のために病院の都合を優先させることも少なくない。